口唇口蓋裂

完全両側性唇顎口蓋裂(両側性口唇口蓋裂)の息子⑮ 手術の選択

口唇口蓋裂息子シリーズ・リアルタイム版です。

今回でこのシリーズが15回目となるわけですが、今一度息子のスペックをご紹介しましょう。

・完全両側性口唇口蓋裂(正式名称は完全両側性唇顎口蓋裂)の高校1年生15歳年度末生まれ。

・病状としてはなんぎなタイプと踏んでいる。

・一般的な口唇口蓋裂治療は、未就学児で4回、小学校高学年で1回、18歳になる前に最後の修正手術1回の計6回。

・息子は就学前4回、小学校高学年で2回、中学2年生で一回手術した、もう7回やってる。

・職業高校1年生で、高校卒業後は就職希望。

・基本かかる病気は全て最悪の方向に行く。熱性けいれんもしかり。

・18歳まで育成医療で医療費補助があるが、うちの市は高校卒業時まで助成がある(マジ神)。

以上、インプットして頂けただろうか。

頑張ってついてきてほしい

で、前回の矯正の際に、今まで思っていた以上に息子の治療が大変であるという匂わせ行為がありました。

匂わされたことは息子は知らない。理解していない。母のみぞ知る。

そんなある日病院からかかってきた電話で、アテクシの腰は砕けます。

息子くん、あご削る手術してもらおうかなと思うんですけど、きちんと説明するとすごく時間かかっちゃう手術なんで、担当医からの説明は年明けにします。
次来た時息子君にその手術の動画だけ見てもらおうと思うんですけど、お母さんも見ます??

(藪から棒にナチュラルに何言うとんの)

いや見ますけどっていうか見なあかんやろそれは。

いきなり飛び込んだ手術の話。予定になかった手術(は3回目)。

この頃息子の生物学的父親つまりわたくしの法的な配偶者が長年ため込んだ蓄膿の手術を予定していたが、それを聞いた時は一ミリも揺れなかった私の心に動揺が走りまくりました。

(のちに配偶者の手術は成功しておりますそれに関する感想は控えさせていただきます)。

息子はどれだけ嫌がるだろうと心を痛めたお母さん。

慰めればいいのか、はたまた叱咤激励すればいいのか。

ほしがってるiPhoneこうたるいうたら喜んでやるやろ

考えるのがめんどくさくなったので、ごねたら金で解決しようと決めました。←

そして迎えた矯正科と外科受診日当日。

話は思わぬ方向にすすんでいくのです。

矯正科の話 あごを削るか歯を抜くか

さてまずは矯正科の受診です。

病院で落ち合った息子(高校早退してきた)は、翌日定期テスト。
待合室で教科書を開いた瞬間、眠りに落ちました(おい)。

その後主治医から呼ばれ、寝起きでいつものように一人で診察に行こうとすると

ちょっとお話するので、お母さんも来てください

と相談室に呼ばれました。
いよいよ戦の始まりです(なんの)。

いやな気分マックスの母と、寝起き全開の息子と主治医。

から聞いた話が予想外過ぎて、母大混乱します。

息子とは似ても似つかない外国人女性が、さっくりあごを切ってさっくり矯正で歯並びが良くなっていくCGを見せられながら言われたこと。

・下あごを削る手術をするかしないか、とても微妙なライン。
 どっちでもいい。

・手術をするなら10日くらい入院。

・今から手術しようとするなら、夏休みとかの長期休暇はとれない(運が良ければねじ込めるけど多分無理)。

・その手術をして、落ち着いてから最後の矯正を開始する。

・外科の最後の修正手術は、この手術から半年空ければできる(て言うたけどあとで外科から違うこと言われる)。

・もし手術をしなければ、下の歯を数本抜いてあごを小さくする。

・上の歯は2本足りないので、人口の歯を入れるかも。

・どちらもせずに矯正だけで治すと歯に負担がかかるのでやらないほうがいい。

・治療が長引いた場合、身体障害者手帳を取得すれば、医療費の助成が効くかもしれない(更生医療?)。

・どちらにするかは本当に微妙なところなので、決めてください(←)。

・でも、年明けにあご切りの担当医の話は聞いてもらう(←)。

以上です。

ご理解いただけたでしょうか。

細かいことはご理解いただかなくてもけっこう、とにかくここで大切なことは

手術をするかどうかは自分たちで決めてくれたまえ

という点。オンリー。ここしか勝たん。

さて皆さまこの辺で思い出していただきたい。
寝起きでいきなり全く予想していなかった治療の話をされた男がいることを。

もちろん私も先生も、ちらちら息子の様子を伺ってはいた。
そして私たちはこう危惧していた。

この男もしや

何も考えていないのではなかろうか

ぼんやりした顔で話を聞いていた息子に、先生は言いました。

今の段階では、手術はしてもしなくてもいいんだけど、息子君はどう思う?

息子の答えは

どっちでもいい

DOTTIDEMOII!!!!!!

お前もか!!!!!

ここでどれだけ息子が嫌がるだろうと思っていた私は、お口あんぐりでした。
でも寝起きだしバカだし(←)、意味がわかってないだけかもしれない。

答えは保留したまま、次回あご切り担当医の説明の予約も取りながら、寝起きの男と4時起きのお母さんは、外科の診察にむかいました。

ここでいろんな話が覆る。

外科の話 高校卒業までに治療が終わらないかも

さて外科に行き、診察に呼ばれ、矯正の進行具合はどうですかと聞かれたので

いきなり手術の話が出て、我ら混乱しております
しかもやってもやらんでもいいと言われてさらに混乱しております

お伝え。

ちなみに同じ病院ではあるが、横のつながりは鬼クソ悪いので、黙ってても話が伝わってると思わないほうがいい。
それで何度も痛い目にあった。←

ちなみにこちらの外科はわりとコロコロ先生は変わりますが、今の先生はとても丁寧でいい人なので、再度あごの手術の説明をしてくれました。

・思っている以上に大きい手術。今までした手術の比ではない。
手術時間は最低でも4~5時間。

・多分本当に手術をするしないのボーダーラインなんだろうけど、最終的な判断は来月のあご切りチームがする。

・かなり大変な手術だし、もう大きいので、本人がしたいと思わなければやらないほうがいい(ここでいきなり息子がやりたくないと言い出すが、それはおしっこの管入れたくないだけ)。

手術をしたら顔の印象は一気に変わる。全然ちがう。

・一回手術したら1年後にプレートを外す手術をするので(聞いてへん)、そこから矯正が落ち着いてからしか外科の手術はできないので(え)

あご切りを選択したら、絶対に高校生の間に最終修正手術はできません。

(え)

・あご切り自体は、大人になってからする人もいるし保険は効く。
でも、あご切りをして修正をする方が一番きれいになる。

・あご切りをしないのであれば、高3の冬休みに修正手術(仮予約した)。

以上です。
みなさま把握できましたでしょうか。

ちなみにここまで言われましたけど、ところ変われば品変わる、医者が変わればいうこと変わるは大学病院の常。

この先ひっくり返ることはなくはないと思いますが、ようするにどちらの先生も意見は同じ。

どちらでもいい治療の場合、息子君の意見を一番尊重します

そうですねもう高1ですもんね!!!

じゃあ息子の意見聞いてみましょうかね!!!

治療方針 息子の意見と母の思い

さて手術をしてもしなくてもいいけどしなくても別に治療が楽ではない主役。

絶対に泣いて嫌がると思っていたのに。
泣いたらiPhone買ってもらえたのに。

うーーーん
まあどっちでもいいかなあ
ていうか俺

明日のことまでしか考えられへんからなあ

あさって以降のことはようわからんとのこと!!!!!

若干複雑な気持ちにもなりますが、15回入院して7回手術した息子にとって、今から1回2回手術が増えることなどたいしたことではないようです。

慣れって怖いですね。
人生たった一回の蓄膿の内視鏡手術で重病ぶってる生物学的父親とは大違いです。

その2日後くらいにも、手術はどうするのか聞きましたが、何も考えてませんでした。

あんた、家帰った瞬間に手術のことなんか忘れてるやろ!!

言うたら

いやそんなんwww
診察室出た瞬間からwww
忘れてるしwww

何わろてんねん!!!!!!

私からぐちゃぐちゃに見える口も、彼からしたらそこまでひどいと思ってないらしい。
とことん手術してきれいにしたいと思ってないらしい。
でもそれは今の話で、将来はわからない。

先のことは考えてないけど、勉強したくないからというだけの理由で、就職は譲れない。
何のために推薦入試の多い偏差値控えめ高校行ったんや。

つまり簡単にまとめますと、選択肢はみっつ。

①18歳までに治療を終えるべく、あご切りはしない、もしくは大人になってからする。

②あご切りをして、高校卒業後就職してから修正手術を受ける。

③あご切りをして、高校卒業後は何らかの進学をし、長期休暇で修正手術。

3番目しか!!!!

勝たん!!!

これしかなくないですか!!!!!

いや進学はないやろwww

じゃなく!!!

ないですか!!!

いう!!てん!!の!!!!

はっきり言って、大学なりなんなり進学して、治療を続けるのはめっちゃお金かかりますよコスパ悪いですよ。

でも私!!!
社会人になる前に!!!!

あの子の顔きれいにしたいんです!!!!!

治療を終えてから、社会に出したいん!!!

DEATH!!!

ぜえぜえいうわ!!!

でもどうなんだろうか、これは親のエゴなんだろうか。
本人が気にしてないなら、それはもうほっときゃいいんだろうか。

手術を選べば顔はきれいになるかもしれないけど、高校生活は犠牲になる。

あんなに毎日楽しく学校に通って
あんなに毎日友達と遊んで
部活だって頑張ってるのに

それが犠牲になるんです。

小学校も中学校も、手術でいっぱい我慢したことあるのに。

でもでも、今きれいに顔を治しておけば、将来気後れすることがないかもしれない。

わからん!!!!!

決めて!!!!

という話です結論誰か決めて。

ていうかほんまええ歳なんやから自分でやりたいやりたくないとかないんかい手術どっちでもいいってなんやねんおしっこの管はイヤやけどまあ別に全身麻酔は寝てるだけやしってなんやねん大騒ぎしてる蓄膿見習え←

はっ!
取り乱しました!!!

とか何とかいうときながら、次回の受診で話くつがえるかもやけど。
聞いてへん話またいきなりぶっこまれるかもやけど。

誰か決めて下さいな♡

そんな2020年冬のお話でした。

では「完全両側性唇顎口蓋裂(両側性口唇口蓋裂)の息子⑯ 思春期高校生の疾患のとらえ方」に続きまーす!