読書感想文

大人の読書感想文 『赤猫異聞』浅田次郎(新潮社 2012年)

あまり読書が好きじゃない方でも、一度はお名前聞かれたことがありましょう。

浅田次郎の小説です。

 

読書が好きじゃなくて浅田次郎の名前を『鉄道員(ぽっぽや)』でだけ知っているような人には、先に言うときます

まーーーーー!!さくさくは読めない本だと思います!!

そんな『赤猫異聞』の感想です。

ふう
ふう
ネタバレあるよ

 

あらすじ

時は明治元年暮れ。

江戸に大火事が発生しました。

舞台は今でいう刑務所、「伝馬町牢屋敷」。

大火事の時に、牢人の安全のためにいったん釈放する、「解き放ち」、いわゆる「赤猫」の裁きが行われ、400人の牢人が江戸の町に解放されました。

その中の重罪人三人、やくざ者の「繁松」、辻斬りの侍「七之丞」、夜鷹の大元締め「お仙」の、その後の人生と、解き放ちの舞台裏を描いた物語。

 

『赤猫異聞』 本の説明

ハードカバーで全281ページ。

あんまりページ数は多くないけど、すっごい読むの時間かかりました。

その理由はのちほど。

初出は「小説新潮」2011年3月号~2012年5月号。

定価は1500円です。

 

『赤猫異聞』 内容以外の感想

もうね、私浅田次郎大好きで!!

好きで好きで好きなので、細かく語ると5万字超えるし我慢するとして!!

ちょっとだけ浅田さんを知ってほしい。

 

一言でいうと粋な江戸っ子なんですよ。

自衛隊上がりでアパレル関係の仕事してやくざな感じもちょっとありつつカジノと競馬がすごく好きで、いまだに和服で文机で万年筆で原稿用紙に書いている。

そのあたりはたくさん出ているエッセイに書いてます。

ちょいワルおやじ。

ちょいワル江戸っ子。

 

で、一躍有名になった『鉄道員(ぽっぽや)』もそうなんだけど、ほんと人情味あふれる小説書くんですよ。

私が号泣しまくったのはこれ。『天国までの百マイル』

泣くめっちゃ泣く!!

ていうか私これ読んで泣かへんやつと友達なられへん!!←

これはすごく読みやすいから読んでほしい。

 

あとはこれもじんわりくるかな、『メトロに乗って』

これ東京の人の方が読んでて面白いんじゃないかな。

土地勘ある方が意味わかるかも。

浅田次郎の本ほとんどそうやけどね。

 

おすすめ本をいちいちあげてるときりがないのでこれ以上は差し控えますが、どの本も何となく優しい。

救いようのない悪者とか、品のない場面が出てこない。

文章に酔ってくどくなるところはあるんだけど、それがいい。

 

のだが。

ふう
ふう
だが

 

歴史小説じゃないんだけど、今回の『赤猫異聞』もそう、時代小説になるのかな、時代背景が江戸時代とか明治時代とかね、そういうのが多くなってきてね。

『壬生義士伝』あたりからかな。

これも泣くで。

 

すごい内容は面白いんだけど、とにかく文章がね、固いんじゃなんだけど、この時代に忠実に書いてるから

ふう
ふう
慣れてない人は読めないやろな

と思います。

 

私はすっごい本好きだし、大学も国文学科で江戸文学専攻してたけど、それでもしんどい。←

 

例えば一部抜粋すると、これ繁松のセリフなんだけど

「信州高島無宿繁松、これよりお兄(アニ)ィさんのご厚情相承りやして、意趣返しに参りやんす。死ぬも生きるも、男の意地にござんす。向後面態相背けましてからは、お兄ィさんとは何のかかわりもござんせん」

入力大変やわ!!

ふう
ふう
編集者も大変やろな

 

とにかくまあこんな文章が続く。ひたすら続く。281ページ続く。

登場人物5人いるんだけど、その人ごとの背景に応じて文章が変わってるのもすごいし、そこが魅力なんだけど、読書慣れしてない人には敬遠されるんじゃないかなと、ファンとしては心配しております。

 

『赤猫異聞』 本の感想

ふう
ふう
ネタバレするよ~

今回の小説に「地の文」はありません。

登場人物5人に、後世の司法局(? ようわからんかった)の職員が訪れ、かつての解き放ちの際の様子を聞いているという設定です。

なので、構成が五部に分かれており、5人がひたすら当時の自分の行動を話しているというもの。

 

これねえ、地の文がないから、すっごい文字数多い。

はじめに書いたけど、すごく読むの時間かかりました。

私このくらいの本なら二時間あれば読むんだけど、三日に分けたな。

文字数多いし文章読みにくいし。←

 

登場人物5人は

・牢屋敷同心 中村新之助

・白魚河岸の夜鷹 お仙

・賭場の跡目候補 繁松

・辻斬りの侍 七之丞

・牢屋同心 杉浦正名

この5人のうち後半の4人は5、今は全く当時と違う生活を送っているんですけど、まあその人たちへのインタビューです。

インタビュー言うたらいきなり俗っぽくなるけど。

江戸時代から明治にかけての日本は、ほんと混乱してたんだなあと思う。

 

はじめはね

ふう
ふう
ふんふんそうなのね

で読んでたんですけど、だんだん読み進めてるうちに疑問が残ってきて。

この3人がなぜ今こんなに優雅に暮らしてるんだろうと。

じゃああの人はどうなったんだと。

 

実はこの物語には、丸山小兵衛という影の主人公がいまして。

ちらっちら名前は出てくるんだけど、どうも前には出てこない。

その小兵衛の幼馴染が、最後に登場する杉浦正名。

 

泣いたわ!!

 

この結末は想像してなかったわ!!

泣いたわ二回言うわ!!

 

読み終わればいかにも浅田次郎!!て感じの話なんですけど、悲しい気持ちで終わってしまいました。私はね。

 

てことで感想は

ふう
ふう
星みっつよりのよっつ!!

★★★★☆

でした。

 

読みにくさがあるだろうし、慣れてない人にはどうかなあとか思ったけど、まあそれは横において。

子気味良い文章っていうのが魅力でもあるし。

あと、読みにくかったら適当に飛ばしても意味わかりますよ←

基本は優しく書いてるから。

 

私気に入った本は二回続けて読むことにしているので、今からもっかい読みます。

伏線を探す旅に出ます。←

ふう
ふう
では~